トレンチコートならバーバリー、1ページ読みきり!
トレンチコートならバーバリーだろうか。とにかくトレンチコートはお持ちだろうか? 冬のコートの定番であり、男性であればトレンチコートを持っていない人が居ないんじゃないかと思わせるくらいのアイテムである。冬の寒風を防ぐアイデアのかたまりのようなトレンチコートは発祥から100年近くも経とうかという今もバリバリの人気アイテムだ。
もともとトレンチコートは「軍用」だった。だから基本はヘビーデューティなデザインなのだ。何も映画でシカゴギャングが好んで着用したからハードボイルドなのではない。トレンチコートは成り立ちからしてハードボイルドなのだ。
もともと、トレンチとは塹壕の事。英軍が寒風の中、塹壕戦を展開する時に防寒着として最適なようにデザインされたのだ。
イギリスにゆかれた事があるだろうか? その木枯らしの厳しさといったら表しようが無いし、雨交じりもしばしばだ。だからトレンチコートには防水加工のキャンバス綿生地が使われるのがオリジナル。これがギャバジンと呼ばれるトレンチコートの風合いとして欠かせない。
トレンチコートはバーバリーに限らずやたらと「ベロ」がついている。両肩もそうだし、襟元にも、袖周りもそうだ。それぞれに役目があって、自然に分かりやすいように出来ている。襟と袖まわりは寒風が吹き込まないように「絞り」の役目を果たす。
トレンチコートの肩は「軍の肩章」が筒状に作られているので、そのままスポッとはめ込めるようにデザインされた。無論、軍の携行品の水筒とか銃とかのストラップをかませる事だってできる。
ネットでも話題になる「トレンチコート・ベルトの結び方」だが、このベルト、実はどのように結ぼうとトレンチコートの型を守り、また腰から上の防寒に果たす役割は、寒風相手のダムのようなもの。これゆえに、英国軍人は雨交じりの寒風の中、トレンチ(塹壕)の中でじっと相手の出方を待てたわけだ。
もう一つ。これは今のバーバリーでも一部残っているが、ポケットがポケットじゃない。「?」と思われるかもしれないが、実はポケットはスリット(切れ目)になっていて、内側に着込んだ上着のポケットに手が滑り込む機能性がデザインされている。
トレンチコートならバーバリーだろう。本当は同様にトレンチコート老舗のアカスキュータム社がもっと目立ってもよいはずだったが、バーバリーのマーケティング努力の後塵を拝した。
そもそもトレンチコートに必須のギャバジンの発案者はトーマス・バーバリーという事になっている。発案といえるかどうか少し怪しい部分もあるが、いずれにせよバーバリーはギャバジンの特許やら製造権を押えるというビジネスマンとして最も頭のいいアレンジをした。
トレンチコートの表地だけがバーバリー由来ではない。あのバーバリーチェック柄だって、もとはといえば、トレンチコートのライナー(内布)としてデザインされたものだ。軍からの大量なトレンチコートの発注、戦後の映画内でのトレンチコート(バーバリーチェックの内布)の露出で世界的にも「トレンチコートといえばバーバリー」というイメージが打ち立てられた。
バーバリートレンチコートのマーケティングには、南極観測のアムンゼンも、映画カサブランカのハンフリー・ボガート、はては首相のチャーチルまで広告塔の役目を果たし、後年、英国王室称号まであたえられている。